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カルロ・サンソーロさんが来日しました!

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2008年7月15日-23日 
carlo-installation01.jpgのサムネール画像ブラジルへの移民100周年を記念した日伯交流年に併せて、リオ・デ・ネイロの映像作家、カルロ・サンソーロ氏を招聘しての、ギャラリー展示とアーティストトーク、ビデオスクリーニングが行われました。
サンソーロ氏はアーティストでありながら、世界中の映像作品を紹介するメディアアート・フェスティバルの運営も行っており、今回ブラジル国内の作品と海外作品を多数上映し、観客を交えた質疑応答とディスカッションが行われました。
carlo-doc01.jpgのサムネール画像 展示の設営と東京でのビデオ撮影をするサンソーロ氏
carlo-doc02.jpgMOTTギャラリーでの展示の様子

[上映プログラム]
ブラジル・プログラム
Brazil Program

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1.アレクサンドレ・ミラグレス「ビデオ・ポピュラー」2004  5:00

Alexandre milagres “Video Popular”



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2.ダニエル・サライヴァ「エステス・レセム・ティラダス」2006  3:22

 Daniel Saraiva  “estes recem tiradas”



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3.ホアセリオ・バティスタ「o relacionamento entre midia e a sua audiencia2007 - 4:10

 Joacelio batista  “o relacionamento entre midia e
a sua audiencia.”



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4. MM ナオ・エ・コンフィーテ「オマージュ・マッシュアップ」

MM nao e confete “HOMAGE MASHUP.



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5.マルコス・マストス「リモート・コントローリング・パゾリーニ」3:00

 Marcos Bastos “Remote Controling Pasolini



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6.エリカ・フランケル「7枚の美しい皿」2004 -4:00

 Erika Fraenkel “ 7 Lindos Pratos”



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7. カルロ・サンソーロ 「オズ・ランド2」9:56 min - 2006

Carlo Sansolo “Ozuland 002 “

 



インターナショナル・プログラム International Program

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1.      アンドレ・センラ「La Temprestad- 2006 -4:00 スペイン

Andres Senra “La tempestad” Spain



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2. パスカル・リーヴレ()&ベニー・ネモロフスキーラムセー(カナダ)「愛国者の行為」2005

Pascal Lievre e Benny Nemerofsky Ramsay “Patriotic Act”  Franca e Canada.



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3. アレクサンドラ・デメンティヴァ「チャット」6:59  2006ロシア・ベルギー

Alexandra Dementieva “Chat” Russia / Belgium



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4.ミハイ・グレク「フロン」7:50 2005 ルーマニア

 Mihai Grecu “Freon” Romenia




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5.マルセロ・マルカド「原始の狩人」 12´ 07 2007 ドイツ・南アフリカ

Marcello Mercado “Primordial Hunters. Ur-Jager” Germany/South Africa



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6. バルト・ヴァン・ダイク 「ノー・フィアー」600 2008

Bart Van Dijck “NO FEAR

 

ブラジル作品・モニター上映 Screening on the monitor/ Brazilian Works

1. ネルトン・ペレンズ「L-Co2006 3:26

Nelton Pellenz “L-Co”

2. マルコス・バストス「ワールドプロセッシング・ゴダール」 3:00

Marcos Bastos “ Word Processing Godard”

3. MM ナオ・エ・コンフィーテ「ザッピング・リミックス」

MM nao e confete “ZAPPING REMIX

 

インスタレーション Installation

不定義な境界線 カルロ・サンソーロ リオ・デ・ジャネイロ

Undefined Boundary / Carlo Sansolo, Erika Fraenkel

 
「リオ・東京 都市の境界線の可視化」開催に寄せて 

瀧健太郎

物事の価値あるいは定義が浮ついたような、意味が常に横滑りしている感覚に陥ったことはありませんか?

つまり確かなもの、物事の真性が隠蔽されて、それとはまったく関係のない表層だけが私たちに見えているような…。そして、その上辺だけの世界を私たちが生かされている、というような。

映画「マトリックス」がウケたのは、物語の前半が、そうした表層を正に私たち自身が生かされていることの、そのうすっぺらさに誰しもが疑問をもって生きているからに他ならないでしょう。(しかし映画の後半と続2作は残念ながら、そこからの開放ではなく、『救世主』や『運命論』と今まで通りの物語にまた後戻りしていることは多くの人が指摘しています。)
 

では「マトリックス」で描かれるヴァーチャルな街とリアルな街の二つの都市のように、物事の真性=リアルに生きている街とそうでない街の二つがあるとして、その境界をどのように私たちは気づくことができるでしょうか?それにはまず、二つの領域を行き来することではないでしょうか?一方から他方へ、境界線を乗り越えて。

今回、カルロ・サンソーロが見せてくれる一連のビデオアートは、例えば映画とビデオメディア、都市と地方、ハイパー資本主義的な空間とそうでない空間、政治と諧謔といった様々な境界の間に観客は立たされ、そして引き裂かれることでしょう。あなたがもし一連のビデオアートを見て、居心地の悪い思いをするなら、それはどちらかの引力に引かれ、もう一つの在り方を認めないことの現われかも知れません。

 開放のためのビデオ作品を予感して、そして何より表層性の認識よる真性の奪回に役立つことを祈って。作品群をご覧頂き、カルロ・サンソーロ自身の言葉に耳を傾けたいと思います。


carlo-doc03.jpgのサムネール画像
サンソーロ氏を囲んでVCTスタッフ、参加アーティスト、観客らと記念撮影