カテゴリ:2008,プロジェクト,不定義な境界(2008-2009)

“Undefined 不定義” プロジェクトの概要

VCTでは様々なプロジェクトを行っております。2007年ー2009年にかけて行っている「Undefined 不定義」プロジェクトの概要はこちら。

アートにおける「思考禁止」という状況
9・11テロに対して鋭い分析と示唆を唱えたスロヴェニア出身の哲学者スラヴォイ・ジジェクは彼のいくつかの著書で、私達が生きている現代を、生の萎えた「思考禁止の時代」と言っています。

「思考禁止」はアートの文脈においても起こっています。現代の状況や問題というものが消費物や製品として解消されているかのように展開されています。問題に対する力が個人の外部に向かうのではなく、例えば、個人の温床によって展開する「オタク的」な、単に技巧的で工芸的なアート、キッチュで一見難解なアートが多く消費されています。観客は表面だけを鑑賞し、中身の無いアートとして消費してしまっている現象は現代の病理とも言えます。思考本来の意味や現代の状況に対する実感が薄れ、過剰に流れるイメージや情報に時間を費やすという虚構に私たちはいるのかも知れません。
ビデオアートセンター東京(VCT)の役割
上記のような「アートにおける思考禁止」という状況の中で、ビデオアートセンター東京 (VCT)はイメージや情報を積極的に対象物とし、社会や世界を読み暴き、「鑑賞するアート」から「思考するアート」へと表現のパラダイムシフトに向けて います。私たちが情報メディアとして一番触れている電子映像=ヴィデオを使い、ラディカルな芸術の表現を行っているアーティストたちに焦点を当てていま す。

プロジェクト
「Undefined 不定義」プロジェクトは、現代アートの状況の認知や、思考するための手がかりとなることを目指していることを示します。国内のみならずグローバルに活動す る海外のアーティストやそのグループにも開かれております。プロジェクトは国際間のビデオによるセッションと、ドキュメンタリービデオ、出版を含みます。

この企画によりイメージ・情報パズルの時代に生きる読者を現代の世界的な問題の認知へと導くことを目指しています。そこから自由主義の下にはびこる個の喪失の救済、また思考禁止の状態を終える手がかりへと観客や読者を誘うでしょう。

1.アンディファインド ドキュメンタリープロジェクト
ビデオアートの最盛期である1960年代からビデオアートをはじめたパイオニアたちとのインタビューと彼らの作品のアーカイヴ。

2.不定義な境界線 国際ビデオプロジェクト
境界線、壁をテーマにした国際間でのビデオアートによるセッション。

3.「アンディファインド 不定義」 書籍
書籍とDVDによる全プロジェクトの記録