カテゴリ:2008,プロジェクト,不定義な境界(2008-2009)

国際ビデオアートプロジェクト「不定義な境界線」


uw-main.jpgはじめに
 ことヴィデオアート作品という括りにおいて、アーティスト活動の多くが個に集約されつつある昨今。かつての芸術運動のような集団性のある作品を実現できないかという考えが、俄かにビデオアートセンター東京で話し合われるようになりました。

 そこで考案された当企画「不定義な壁」は、各国のアーティストが国境を越えてひとつの作品を手掛けることができるものとして実施されます。

この企画の目指す目的
・ITCによるグローバル化・電子映像機器の普及による制作環境の変化など、時代の動向を踏まえた作品の制作
・さらにはあらゆる意味での「壁」とは何かを考え、象徴する作品の制作です。

グローバル化された時代
 「グローバル化」と一言に言われる近年の状況は、あらゆる国境を飛び越え、かつてない国同士の交流が可能となっています。例えば、飛行機による高速な移動手段と、ITCの普及により、離れた場所への関与がより容易になった時代といえるでしょう。

不定義な境界線とは
 しかしながら、私たちを隔てる壁はあらゆる意味において依然存在し続けているともいえます。便宜的な意味でのグローバル化と、私たちの生活に肉薄した意味でのグローバル化(思想信条の違いや、お互いの国に対する理解など)を考えるとき、その大きな隔たりに気づくことができます。
あらゆる国に共通して存在する「壁」とは、ある種その国や地域の風習を象徴した作りをしています。あるいは、国によっては象徴的な壁を持たない地域もあるかもしれません。
世界の壁を撮影することの意義
 この企画は、各国の壁の映像を撮影し、それを投影させることで「世界の姿」を見出すものです。そこでは、文字通り「壁」とは何かを考えるきっかけを、抽象的に表現できるのではないでしょうか。


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1.壁を撮影する際、人や障害物などが映り込んでも構わない。
2.ビデオカメラは壁の3mが映る位置に放し、壁の下と床面の稜線が、画面の下に合わさるように位置する。
3.壁を撮影している様子をスチルで記録する。
4.今回の撮影に関しての簡単なコメントを文書で添える。

ある国のある場所がそのまま展示会場に等身大で映し出される。
展示仕方によっては、二ヶ所を隣り合わせに展示、あるいは背中合わせに投影展示することなど、様々な形式が可能となります。shooting.jpg