不定義な境界(2008-2009): 2008年8月アーカイブ

“Undefined 不定義” プロジェクトの概要

VCTでは様々なプロジェクトを行っております。2007年ー2009年にかけて行っている「Undefined 不定義」プロジェクトの概要はこちら。

アートにおける「思考禁止」という状況
9・11テロに対して鋭い分析と示唆を唱えたスロヴェニア出身の哲学者スラヴォイ・ジジェクは彼のいくつかの著書で、私達が生きている現代を、生の萎えた「思考禁止の時代」と言っています。

「思考禁止」はアートの文脈においても起こっています。現代の状況や問題というものが消費物や製品として解消されているかのように展開されています。問題に対する力が個人の外部に向かうのではなく、例えば、個人の温床によって展開する「オタク的」な、単に技巧的で工芸的なアート、キッチュで一見難解なアートが多く消費されています。観客は表面だけを鑑賞し、中身の無いアートとして消費してしまっている現象は現代の病理とも言えます。思考本来の意味や現代の状況に対する実感が薄れ、過剰に流れるイメージや情報に時間を費やすという虚構に私たちはいるのかも知れません。